試聴
鼓動収録CD紹介
・アルバム「Withering to death.」収録
・ベストアルバム「DECADE 2003-2007」収録
・ベストアルバム「VESTIGE OF SCRATCHES」収録
鼓動感想
この曲のイントロのシンセサイザーはとても印象的。
大空の様な開放感、でもどこか退廃的な閉塞感もあり、本当に空を見上げているイメージがあります。
“どことなくその悲しそうな顔もきっと明日には忘れ消える
いつからだろうこんなに瞳が死んだのは無意味に 生き続け唄う俺に一体明日に何がある
部屋で独り鼓動を奏で叫ぶ
Don’t kid yourself and don’t fool yourselfI am addicted to the perceived fate
しがみついた運命に俺は独り
Don’t kid yourself and don’t wound yourself”
―「鼓動」歌詞(作詞:京)より引用―
クリーンギターの音すらも暗く悲しく響いてきます。
そしてボーカル・京さんの低く囁く声と、空虚な感情を感じられる歌声。
人から向けられる悲しそうな顔も安い同情のように思い、「どうせ明日には俺の事など忘れて笑っているんだろ?」と穿った見方で決めつけて閉じこもってしまう。
そのくらい、歌詞の主人公は他人を信じていない、もしくは他人に絶望しているのではないかと思います。
そしてその絶望感は自分にも向けられています。
例えば、「明日がある」なんて綺麗事を言う人達に、「例え明日が来た所で、今日と同じで何も無い」と思っているのではないでしょうか。
それでも心臓の鼓動は生きようと力強く叫んでいるのに。
主人公はそうやって、自分は独りだと思い込んでいます。
英語では「勘違いをしないで」「自分に嘘をつかないで」「自分を傷つけたりしないで」と囁きかけられていますが、主人公にその声が届いてはいなさそうな気がします。
“声殺して 目を塞いで 闇に溺れて彷徨って
もう縋れない
声殺して 目を塞いで 闇に溺れて彷徨って
鋭利な君の声を胸に…
全てを闇に”
―「鼓動」歌詞(作詞:京)より引用―
サビは決して明るくはありませんが、それでもかなり力強いです。
自分の意志を発する事は諦め、視覚で情報を入れる事すらも拒んでいます。
でも、耳を塞いではいない。目も、塞いでいるという事は、手で視界を塞いではいるけれど、閉じてはおらず、開けているのかもしれません。
だから、拒んでいても心のどこかで救われたい気持ちはある……その様に感じられます。
でも、周りに迷惑をかけられない。縋る事が出来ない。だからひたすら拒んでいる。
「鋭利な君の声」は、例えば縋りすぎて相手を疲れさせてしまった声なのでしょうか。
それとも、救おうとしていたのに拒み、否定してしまった結果、傷ついて発された声なのでしょうか。
それとも、例えば頑張れのような言葉は時に人を追い詰めると聞きますが、そういった無邪気な応援の声なのでしょうか。
主人公はそんな「鋭利な君の声を胸に」これからを生きようとします。
言葉を胸に秘めて頑張ろう!みたいな明るいイメージよりも、その鋭利な刃の刃先を自分の胸に向けて、いつでも突き刺せる様に……そんなイメージが私にはあります。
力強い激しさがありつつもメロディアスで聴きやすい曲です。
私はよく、落ち込んだ日に、寝る前に布団を被って、まさに周りを闇の状態にして聴きながら世界観にどっぷりと沈み込む……そんな聴き方をしているのですが、皆さんはどうでしょうか?一度聴いてみて下さい。
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