試聴
暁の車収録CD紹介
・シングル「暁の車」収録
・アルバム「Destination」収録
暁の車感想
イントロから、クリーンギター……というよりもやや民族的な味のある音が、楽曲の切ない世界観を描き出します。
“風さそう木陰に俯せて泣いてる
見も知らぬ私を私が見ていた
逝く人の調べを奏でるギターラ
来ぬ人の嘆きに星は落ちて”
―「暁の車」歌詞(作詞:梶浦由記)より引用―
歌声は美しく、演奏はどこまでも穏やかに切なく。
主人公は待ち人が亡くなってしまった事を受け入れられず、ギターラ(ギターとは起源が異なる、ポルトガルの民俗楽器らしいです)を奏でています。
“行かないで、どんなに叫んでも
オレンジの花びら
静かに揺れるだけ
やわらかな額に残された
手のひらの記憶遥か
とこしえのさよならつま弾く”
―「暁の車」歌詞(作詞:梶浦由記)より引用―
美しい歌声に強い感情が合わさります。まるで、この場ですぐにでも崩れ落ちて号泣したいのを、必死に抑えているかのようです。
シャン……と響く錫杖のような音が、楽曲に空間の広がりを感じさせつつも、清浄で、少し引き締まった雰囲気にしています。
静かに揺れているオレンジの花びらは、オレンジの花びらではなく、残酷な戦火なのではないでしょうか。
大好きな人を亡くした衝撃で音はもはや聞こえず、炎が燃え盛る光景だけが記憶に焼き付くのです。
「やわらかな額」という言葉からは赤ん坊を連想します。
母親を戦争で失った赤ん坊が、成長してなお、暖かな手のひらの記憶だけを頼りに自身の母親を思い起こし、そしてギターラを弾いている……そんな光景が目に浮かびます。
2番からは一気に楽器が増え、無慈悲に燃え盛る炎を表現しているかのように情熱的に曲が変化していきます。
この曲はアニメ「機動戦士ガンダムSEED」の挿入歌としてTVでも流れましたが、曲だけでも泣けるのに、そのシーンも相俟って、私の中では本当に神曲の一つだと思っています……。
聴くだけでも良いのですが、時間が許せば、どうかガンダムSEEDも一緒に見てみて下さい。
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