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月下美人収録CD紹介
・シングル「月下美人」収録
・アルバム「転生輪廻」収録
・ベストアルバム「二〇〇七~二〇一七」収録
月下美人感想
イントロで、序盤の歌詞には出てきませんが、「いろはにほへと ちりぬるをわかよたれぞ つねならむ」と「いろは歌」の一節が出てきます。その一節を穏やかに歌い上げてから、ミドルテンポで雅な雰囲気のイントロへと繋がっていきます。
“此処は桃源郷 瞼閉じ蹲る
「見ず」
「言わず」
「聞かず」
「触れず」
「感じず」…夢心地?”
―「月下美人」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
一定の高さで鳴り続けるギターが、ここが現実世界では無いことを警告しているようにも感じられます。
本当にそこが桃源郷……理想の楽園であるならば、決して瞼を閉じる必要などない筈なのですが、実際には桃源郷ではなくて、五感を封じられた死に限りなく近い場所なのではないかと思います。
現実の苦しみは確かに感じないので、人によっては楽園といえば楽園なのかもしれませんが……
“首を垂れて今際を待つ私は既に枯れた躯
縫い合わせた蕾を断末魔で切り裂けば”
―「月下美人」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
Aメロでは一定の高さで奏でられるだけだった笛の音色が、Bメロからひらひらと舞い始めます。
主人公が栄華を誇ったのはもはや昔の話で、今はただただ枯れた花の如く静かに首を垂れて、止めを刺されるその瞬間を今か今かと待ち構えている身なのでしょう。
“花の色は目が眩む悲鳴 命紡ぐかの様に叫ぶ”
―「月下美人」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
己龍のグッズには雅な模様の扇子があるのですが、楽曲の優雅さと軽快さを聴いていると、扇子を片手に小刻みにジャンプしたくなりますね。
枯れてしまった今となっては昔のような華やかな花の色は耳を……いや、寧ろ目をつんざくような色として映るのでしょう。
しかもそんな華やかな世界に身を置いていた昔の自分自身こそが自らの現状を嘲り笑ってくる。
そんな中でも、華やかでも何でもない普通な今を、現実を生き抜こうとする力強さがサビでは描かれているんじゃないかと思っています。
“夢に触れれば儚い 現に触れれば慥か”
―「月下美人」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
夢に触れれば苦痛は無いかもしれないけれど儚い。現に触れれば、苦痛を伴うけれど慥かなものがそこにある。これからどちらに触れて生きていきますか?と、問い掛けられている様な気がしてなりません。
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