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雛奉収録CD紹介
・シングル「天照」収録
雛奉感想
いきなり笛の音色も琴の音色もふんだんに使用された、和の祭囃子な感じなのに不気味さも強く感じられるメロディが流れてきます。
でもライブで演奏されたりするとやはり祭囃子な面が前に出てきて楽しい雰囲気になると思います。
“白羽立つ部落の神狂ひ 諸行無常は万華鏡
てんてん手鞠に蹴鞠を突き 結んで開―――。
お嫁にいらした 姉様に
よく似た其方の白き貌 撓垂れる”
―己龍「雛奉」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
低音の畳み掛けるようなメロディの中、「お嫁にいらした 姉様に」だけが童謡「ひなまつり」と全く同じメロディで、加工された歌声で歌われ、非常に良く目立つAメロ。
今回は恐らく、歌詞の世界観としては、誰かが嫁いでいくお話なのではないかと思います。
もしかしたら「姉様」の嫁ぎ先は身分の良い男性かもしれませんし、妖や神など、人では無い存在だったりするのかもしれません。
“世迷えや世迷え 夜に蛇の目
嫁入り行列 闇に真に 鬼眼の狂
歪な面の生絲を曳く 誰が為めに咲く晴れ姿”
―己龍「雛奉」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
「世迷えや世迷え 夜に蛇の目」の語呂が心地よく、また情感たっぷりにビブラートも響き渡り、それにうっとりしているうちにそのまま勢いで突き進んでしまうBメロ。
「姉様」の晴れ姿は一体誰の為のものなのだろうか?
その疑問に対して返ってくる答えはありません。
“めんこい笑顔は 欺き剥ぎて
さ乱れ肌蹴た赤おべべ 宵雛乃舞
わいらわんさと 犇めき腕
抉開け見えたる肉壺 咀嚼に啜る春の弥生の この佳き日は…”
―己龍「雛奉」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
聴きやすくも少し独特に上下するので耳にも残りやすいメロディ。和楽器の音も盛り沢山で、本当に舞を踊っているような楽しさもあります。
でも、歌詞を見ているとその舞とは、踊りというよりはもっと大人の、色っぽい舞なのかなっていう気もします。
よいひなの舞、それは夜の宵でもありますし、上質で良い、という意味も入っているのかもしれません。
この曲はシングルのカップリングに入っているのですが、よくよく聴いたり見たりするとエログロな世界が見えてくる強烈な曲(だからシングル表題曲に向いていない、という考え方もあるかもしれませんが……)がしれっとカップリングだけに入っているというのは、本当に己龍さんは侮れない……と思える1曲です。
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