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花鳥風月収録CD紹介

花鳥風月感想
曲を再生するといきなり耳に飛び込んでくる美しいヴァイオリンの音色が心を掴んで来ます。
その後、バンドサウンドと共に聴こえてくる、ソプラノ歌手のような、美しい女性コーラスに、この曲はただ者ではないな、という感覚を覚えました。
“頭蓋の奥が少し焼け爛れた様で
痺れた感覚が少し心地よくなり始め
一時の悦楽に己が凪を賭して
見返り美人さえ捻じ切れる程首を捻る”
―「花鳥風月」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
主人公は、ある程度経験を積んだ大人、だと思っています。少なくとも子供では無い筈。
そして過去には栄華を誇り、悦楽を感じた事がある美人なのだと思います。
その過去が忘れられずに、「もっと自分を美しく!」と自分の全てを賭けて方法を考えている、策を練っているようです。
曲では、「一時の悦楽~」から入る「ほ、ほ、ほ」というコーラスのように聞こえる音が何だかリズミカルで楽しげな感じがします。
“花は移ろう時の中 姿形を変え生まれ変わる
人は移ろう時の中 相も変わらず”
―「花鳥風月」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
「時の中ぁ~」とやや伸ばす歌い方が、本当に長い時を移ろっているかのような印象を受けます。
そんな長い時の中で花も人も移ろい、老いるというのに、主人公だけは過去の栄光に縋り、老いに逆らって相変わらずの姿であり続けようとしているのでしょう。
“狂い悶える
歪んだ花鳥風月 幸も不幸も紙一重
首落ちるか それとも五光に照らされるか
花擦り合わせては 一喜一憂 刹那遊戯
人の生き死になど皆こんなモノでしょう?渇いた花を濡らしましょう”
―「花鳥風月」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
かなり色っぽい、「狂い悶える」の歌声の後、ホラーによく使われている「ひゅ~どろどろ」の「ひゅ~」に似た音、そしてリズミカルなデスボイスとバンドサウンドを絡めてのサビ。
美しいようで、どこか狂気を感じます。
黒崎眞弥さんの禍々しい歌声のパワーは、「もう歪んでしまったのだから戻らない、突き進むしかない」そんな決意を感じさせるかのようです。
歪んだ先が幸せなのか、不幸せなのかは人次第の紙一重。
五光とは調べた所、花札の最高位のようです。
人生なんて失敗して死んでしまうか、成功して生きるかは紙一重の運に左右される遊戯と同じようなものだろう、ならば全力を尽くして遊ぶのが良いと、考えているのかもしれません。
「渇いた花を濡らしましょう」は、ボーカルに重なり、赤子の様に加工された声も歌っています。
それを無邪気と取るか、狂気と取るかは聴く人次第だと思いますが、私には狂気のように感じられました。
過去の経験により価値観、感性が歪んでしまった故に、人生を遊びと断じ、全力で遊ぶ人生。
皆様はどう思いますか?聴きながら考えてみるのも良いかもしれません。
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