「野箆坊/己龍」を聴いてみた!

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【VR】最前ドセンの世界【野箆坊】(360°ライブ動画)

野箆坊収録CD紹介

・アルバム「転生輪廻」収録

野箆坊感想

“「嗚呼、何時も見ている筈の私の顔が思い出せない。
此れは誰で、彼れは誰で、其れは誰で、私は誰で…。」”
―「野箆坊」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―

激しいロックサウンドに、どこか気だるさを感じるような低い声での囁き声が入っています。

主人公は、自分も含めて誰が誰なのかがわからなくなっています。

……いや、自分の価値観に自信を無くしてしまっているという方が正しいでしょうか。
人は誰も、自分の顔を見て、「ああ、これが私なのだ」と根拠は無いけれど確たる自信を持って自認出来ると思うのですが、主人公はそれが出来ずにいます。

“音の無い言の葉を貪っては食い散らかした
吐き出す真っ赤な嘘 紅させば饒舌”
―「野箆坊」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―

そしてデスボイス。
自身を振り返ってみれば、饒舌に嘘ばかりペラペラ喋ってきたものだと、自嘲しているような気がします。

“戯言も命吹き込めば真 故に世迷えば皆右を向くばかり

只「居る」だけで良いのです 寧ろ「在る」だけで良いのです
背中押され、手を引かれるでしょう ほら…”
―「野箆坊」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―

渦のように舞い上がるサウンドの中心でボーカルが立ち上がったかと思えば、中性的に色気たっぷりに踊り出しています。

仮に嘘でも、ずっと信じていればそれはその人にとって真実となります。だから、何を信じてよいかわからなくなれば、例え嘘であったとしても右にならえで信じてしまう。

その嘘の中心人物は、ただそこに居るだけで、もう周り信じているので成立してしまう。
例えば、私が私でなかったとしても、周りが私だと信じて私であるかのように扱ってしまう。
そんな葛藤が表現されているのではないかと思います。

“父の種子で孕んで母の穴から這い出でて
知らぬ名を与えられて生かされた私は誰?”
―「野箆坊」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―

不気味に響く三味線の音と共に、ややかごめかごめっぽいメロディが流れてきます。
自分の名を「知らぬ名」と認識してしまう程に主人公の、私が私でない感覚というのが強いのでしょう。
残念ながら私には理解し難い感覚ではあるのですが、例えば多重人格の始まりなどはこんな感覚に陥ったりするのでしょうか?

“私が私で無くなる様に 貴方が誰でも構わぬ様に
溢れた嘘を塗りたくれば
「お初にお目に掛かります」
私が誰かの化けの皮で ひん剥き晒せば何処の何方?
嗚呼 正にことわり
誰かが「私」を生きる様に 誰かが「貴方」を生きる様に
塗れた嘘を塗りたくれば
「お初にお目に掛かります」
私も貴方も何処の何方もひん剥き晒せば皆同じ顔
嗚呼 正に野箆坊のっぺらぼう
―「野箆坊」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―

このサビはメロディアスなのに早口でリズミカルで、私は聞いていてテンションが上がってきます。物凄くカッコ良いと
感じますね!

自分が化けの皮を剥がしてしまえば何者かわからない、という価値観をそのまま相手にも適用してしまい、私も貴方ももはや誰なのかわからない点では同じで、お互いにまさに顔のないのっぺらぼうであるとしています。

もしかしたら、本音と建前の事を言っているのかもしれませんね。

本音を隠して建前だけで生きるなら、じゃあその隠した本音を持っている私の皮を被った存在って誰?って感じなのかもしれません。

人間、鏡を前にして「お前は誰だ」と問い続けるとやがて気が狂ってしまうと聞きますが、そんな狂気の始まりが、とてもカッコイイ筈のこの曲からもどことなく滲み出ているような気がします。

リンク

野箆坊(転生輪廻収録)/己龍の歌詞|『ROCK LYRIC』

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