試聴
オナジアナノムジナ収録CD紹介
・シングル「情ノ華/朧月夜」通常盤Ctype収録
オナジアナノムジナ感想
イントロから軽快なバンドサウンドを琴の音色で華やかに彩る雅な雰囲気が前回です。
己龍さんのお祭りサウンドです。
“産通りゃんせ 横槍突き 通しゃせぬ 牛頭獄卒馬頭羅刹
被りは炙り 恨み辛み妬み嫉み僻みの螺旋状 晒し首”
―「オナジアナノムジナ」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
サビの最後の「晒し首、ハッ!」のメロディとリズム感がとても楽しい感じがします。
歌詞が描き出す光景は一切楽しくは無いものである筈なのですが……
残虐な光景を見世物として楽しんでいる感覚に近いですね。
“魍魎の匣にて跋扈する魑魅 私腹を肥やし大名行列
一体全体 一切合切 伐採 喝采 知らぬ存ぜぬは罷り通らぬぞ馬鹿めが”
―「オナジアナノムジナ」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
最初のAメロでは、テンポよく韻を踏んだ後の「馬鹿めが」の歌い方が、本当に処刑人が犯罪者を嘲り笑っているような感じがします。
京極夏彦先生の「魍魎の匣」という小説があるのですが、何か関係があるのでしょうか?同じ漢字が使われているのは偶然か、はたまた意図的なものなのか……
“見猿聞か猿言わ猿死ざれや 毒を食らわば皿まで
一枚、二枚、死の伍を吐かす其の舌を引き千切ってやろうか 烏合之衆
角出せ 槍出せ 頭 目玉 出せ 腸煮え繰り返せ
面皮を剥ぎ 劓切り刻み釜茹に煎り焼べ曝せ 化けの皮”
―「オナジアナノムジナ」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
サビが独特の音階であるのに、本当にどこか耳に馴染むようなのが凄い。
扇子振り回して踊っている光景が目に浮かぶようなのに、紡ぎ出される歌詞は残虐な処刑のシーンです。
見慣れぬ漢字が出てきたので簡単に調べますと、「劓」とはその読みの通り、鼻を削いでしまう刑罰の事を示しているようです。もしくは、戦において討ち取った相手の首の代わりとして鼻を斬るという意味もあるようですが、釜茹など他の刑罰も出ていますので、意味は恐らく前者で考えて良いでしょう。
サビの歌詞は前半が処刑される罪人視点で、後半が処刑人・処刑の見物人視点のような感じがします。
何も言わない言わ猿は「死ざれや」というのに、何か言ったら言ったで舌を引き千切ろうとするとか、最後の最後まで抗ってやろうとする意気の強い罪人のようです。
そんな強情な罪人でも、顔の皮を剥ぎ、鼻を削ぎ、体を切り刻んで茹でてやれば化けの皮も剥がれて醜く命乞いをし、悲鳴を上げるだろうと期待する見物人。
これはもう見物人ももはや罪人と同じ穴の貉ではないかと、そんな光景を表現してのこのタイトルなのだと思いました。
視聴環境
再生機器:Xperia XZ3
接続機器:SONY WALKMAN NW-A55(Bluetooth接続/DSEE HXオン)
再生音源:Youtube Musicより通常配信音源
イヤホン:KZ ZSTX
リンク
オナジアナノムジナ(情ノ華/朧月夜収録)/己龍の歌詞|『ROCK LYRIC』

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