試聴
動画
屡流収録CD紹介
・シングル「屡流」収録
・アルバム「夢幻鳳影」収録
・ベストアルバム「二〇〇七~二〇一七」収録(再録)
屡流感想
今回は上の動画リンクでも紹介しています、シングル版の「屡流」を聴いてみた感想を書きます!
イントロの笛の音色が暗い洞窟の中にいるような冷たい清々しさと、微かに聴こえるピアノが一抹の不安を感じさせながら始まります。
“始まりに気付かぬまま それは終わりの瞬間
欲が抑を覚えず 真っ逆逆様に昇る”
―「屡流」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用-
激しめなギターリフが激情を示しているかのようなAメロ。自分が始まっていた事にすら気付かれずに終わってしまう、歌詞の主人公はそんな存在です。
後の歌詞を見た後で振り返ってみると、欲望が抑えきれていないのは主人公ではない存在で、主人公は真っ逆さまに昇らされています。
“愛を語る飯事に組んず解れつの淫靡か愁いに変わる”
―「屡流」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
「飯事」と言っていますから、口では愛を語っていたとしても本心では無い、という事なのでしょう。
なのに、「組んず解れつ」の行為をしてしまう。
その結果……
“流れ流れるこの命 闇の向こうから響き渡る
怒声と罵声に阻まれ 光を見る目も持たない
愛も無いのに何故作った…何故受け入れた…?
弄ばれたのはお前ではなく僕でしょう…?”
―「屡流」歌詞(作詞:酒井参輝)より引用―
主人公である「僕」の命は生まれる前に流れてしまいました。
主人公ではない「お前」に、愛がなく、産まないのに何故「僕」を作ったと、恨みを込めています。
「闇の向こうから響き渡る怒声と罵声」は、「お前」とそのパートナーが言い争っている声が胎内にいる主人公に聞こえてしまっているのだと思います。
「お前」が弄ばれたと言っていますから、「お前」とパートナーにも事情はあるのだと思います。
例えば男の方が女を騙したとか。
でも、「僕」にはそれが理解出来ずにいます。
そして「お前」に対して、弄ばれたのはいたずらに作られた「僕」だと思いながら流されていくのです。
所々清流のような清々しさを感じてしまいますが、曲調自体はテンポが早めでノリも良い楽曲です。
しかし歌詞が、赤子から見た中絶を思わせる歌詞となっています。
赤子に罪が無い故の清々しさと、それでも流されてしまう悲劇・裏切り、それにより希望が絶望・怨みに変わってしまう。
絶望や怨みの強さをテンポとノリが生む力強さで表現しているのだと思うと、とても怖くなる1曲です。
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