試聴
井底之蛙収録CD紹介
・アルバム「暁歌水月」収録
井底之蛙感想
「井底之蛙」とは、「井の中の蛙大海を知らず」と意味は同じです。
己龍の曲は本当に漢字や熟語の勉強になりますね。
イントロから既にギターのリフは不気味な音階を奏でるし、途中で狂ったようなボーカルの声は聞こえてくるし、それだけでもう、凄まじくホラーな世界観を描く曲なのだという事はひしひしと伝わってきます。
“「もういいかい?」
赤黒く泥濘膿む蟹足腫
「まあだだよ」
三日三晩、継ぎ接ぎを削ぎ剥ぎ抉る”
―「井底之蛙」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
難解な言葉が並びますが、耳でその語感を捉えているだけで、目でその漢字を眺めているだけでエログロな世界観が溢れ出てきます。
そして不気味でハードなロックサウンドが鳴り響きますが、そこにリズミカルな楽しさもあります。語感もとてもリズミカルです。
エログロなのに楽しい、まさに狂気と呼ぶしかありません。
「蟹足腫」とは、ケロイドの和名です。
私もそうなりやすい体質なのですが、傷を負うと、赤黒くひきつれたように治っていって、なかなか傷跡が消えないのですよね。
「泥濘膿む」は……「ぬかるうむ」と読めば良いのでしょうか?激しいロックサウンドに飲み込まれ、若干自信がもてないのでルビを打つのを止めました。
“拝啓 薄ら笑い浮かべては
癲狂 剃刀を飲み込む
寸断 裂き乱れる咽喉「両手は開花」”
―「井底之蛙」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
折り畳んだりジャンプしたりするノリが似合うBメロ。
そんなノリで、薄ら笑いで剃刀を飲み込んで喉が切り裂かれていく人物を描いているなんて……
両手は開花、という事は、多分手首も、リストカットされているんじゃないかと思います。
“なべなべ そこぬけ そこが ぬけたら かえりましょう
なべなべ そこぬけ 底抜けた
なべなべ そこぬけ 弧を描き乍ら 反りましょう
なべなべ そこぬけ 遠き落日死人に口無し”
―「井底之蛙」歌詞(作詞:黒崎眞弥)より引用―
童謡「なべなべそこぬけ」のメロディを、不気味に歌い上げているサビ。ファルセットは美しいのに、だからこそ、男性ボーカルなのに和服姿の女性が地獄へ真っ逆さま……そんな光景が目に浮かぶようなのです。
「死人に口無し」は一音毎に交互に、左から発されるか右から発されるかが変わっており、イヤホンやヘッドホンで聞いていると、もはや逃げ場なし!そんな恐怖が襲ってくる一曲なのです。
それなのに一貫して楽しさもある狂気の一曲、皆様も是非一度聞いてみてください。
リンク
井底之蛙(暁歌水月収録)/己龍の歌詞|『ROCK LYRIC』

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