リブラ/ムック~レビュー156曲目~

~リブラ収録CD紹介~

・16枚目のシングル「リブラ」収録

・8枚目のアルバム「志恩」収録

・ベストアルバム「BEST OF MUCC」収録




~リブラ感想~

ベースから先行し雰囲気の重たい音楽が始まったかと思いきや、シンプルで寂しい雰囲気を持つ伴奏と共にボーカルの逹瑯さんが低く呟くように歌い出します。

“利腕に現実をとり もう片腕に道徳をかざし
胸の奥に愛を灯して 頭の中で天秤にかける”
―「リブラ」歌詞より引用―

色々な物を天秤にかける主人公がいます。
利腕と、利腕でない腕では利腕の方が使いやすく強いですから、主人公の持つ道徳は時に現実に負けうる可能性があるという事ですね。
天秤にかける時、中心の針は両方がつり合えばやがて中心に戻りますが、それまでの間はやや揺れます。どちらかが重ければどちらか片方に振り切れます。
主人公が胸の奥に灯す愛は、心からの愛なのでしょうか?それとも道徳観念による建前の愛なのでしょうか?それとも両方がバランス良く混在する愛なのでしょうか?

“感情は邪魔になるだけの世界さ 撃ち殺してくれよ
天秤にかけたのは誰?算盤で弾くのは誰?
ハーメルンの笛吹きは誰?狼少年は一体誰?
そんなのどうでもいいほど今、君を愛しているよ”
―「リブラ」歌詞より引用―

感情が邪魔になるから殺して欲しいと懇願しておきながら最後には「愛しているよ」と感情を表に出して締め括っている箇所です。
周りからはどういう人間なのか判断しようとしたり利用価値を判断しようとしたりとレッテルを貼ろうとする声、導こうとする声、嘘をついて騙そうとする声、色んな声が聞こえてきますが主人公が感じている愛の前にはそんなものはどうでも良いようです。

“花よ今咲き誇れ 僕に教えておくれ
今ここに生きる意味を 明日が来る理由を”
―「リブラ」歌詞より引用―

サビであるこの部分は今までの呟くような歌声から一転、力強いメロディが付けられています。

恐らくこの花は愛している君の事であり、その愛によって生きる意味を得ようとする主人公の心情が描写されています。

“利腕に欲望を持ち もう片腕に背徳を隠し
胸の奥に愛を閉ざせば 頭の中で聖者が笑う
空き地に咲く健気な花
降り注ぐ光を奪うビルがそびえ立ち
人々はそのビルに目を輝かせ
やがて花は呼吸を止めた
風が只、優しく撫でた
風だけが優しく撫でた”
―「リブラ」歌詞より引用―

主人公の天秤が手にしているものは、現実は欲望へと変化し、道徳は反して背徳となっています。
ここに登場する花とはやはり愛している君の事であり、でもその君は何らかの外的理由によって亡くなってしまったのでしょうか。
喪失感を覚える主人公の心に、思い出だけが優しく残ります。

“生きる事 其れは何も見えねぇ闇の中をさ迷う様な
死ぬ事 其れもまた闇で終わりは決して始まりではない
だからこそ今闇を照らす閃光になるよう生命燃やせ
輝きを放つんだ 生きてる証 儚く強く”
―「リブラ」歌詞より引用―

メロディのあるサビの部分を除けば呟くように歌っていた逹瑯さん。サビを含めても、この歌詞の部分が一番感情を爆発させて叫んでいるように感じたので、一番伝えたいメッセージはこの部分であると判断し、普段は一番程度で終わる歌詞解釈を、ほぼフル引用みたいな形にさせていただきました。

主人公は愛する者を亡くした事により、生きていても、例え死んだとしても死後の世界で愛する者と出会って幸せになれる訳でも無いので、深い絶望に囚われてしまったのだと思います。
そして、どう転んでも絶望ならば思い出を胸に悔いなく生き抜く道を選びます。

“花よ今咲き誇れ 君が教えてくれた
今ここに生きる意味を 明日がくるわけを
いつの日か死にゆく僕は 君に何が出来るだろう
陽は昇り光を注ぐ永久に この世界に”
―「リブラ」歌詞より引用―

ここでいう花は、心の中にいる、愛する君の事だとすると今までの私自身の解釈と相違は出ないかな、と思っています。
愛する君が教えてくれた生きる意味を胸に、天寿を全うし死ぬその日まで、生き抜いていく覚悟が描かれています。

歌詞の中で天秤にかけられているものはありますが、本当にこの曲が天秤にかけているのは、絶望と希望なのかもしれませんね。




~リンク~

ムックリブラ

ムック リブラ 歌詞―J-lyric.net

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