病ンデル彼女/R指定~レビュー5曲目~

~病ンデル彼女収録CD紹介~

・16枚目のシングル「病ンデル彼女」収録

・4枚目のフルアルバム「少女喪失-syojyosoushitsu-」収録



~病ンデル彼女感想~

全体的に激しくリズミカルな曲調で、聴きながら思わず体が動いてしまいそうになりますが、その歌詞は、精神的に病んでしまっている彼女の様子を描いており、共感出来る、と感じる人も多いのではないでしょうか。

そして曲が明るい事により共感と励ましの絶妙なバランスが生まれ、精神的に傷ついている人を救いたい、という気持ちを感じ取れる一曲となっています。

“あのコは今日もリストカット
彼女「私の存在価値はドコ?」
あのコは今日もリストカット
鋭利な瞳で”
―「病ンデル彼女」歌詞より引用―

主人公が好意を寄せる彼女が、自分の存在価値もわからずリストカットしている様子が描かれています。「鋭利な瞳」とは、周りの反応の事でしょうか。

“左手に巻いた包帯が
投掛けるように覗いたんだ
左手に巻いた包帯が
何かを訴えてる”
―「病ンデル彼女」歌詞より引用―

人がリストカットをする理由は様々ありますが、その痛みで辛い事を忘れられると思って行っている人もいます。体が痛みに対抗しようと、脳内麻薬のエンドルフィンを分泌し始める為そのような気持ちになる様です。
そこから導き出されるのは、リストカットは決して自殺行為ではなく、その人なりの逃げ場の作り方なのだと思います。
何故逃げ場を作るのか、歌詞に出てくる彼女の場合は恐らく自覚していないでしょうが、「生きたい」からに他なりません。
その気持ちを、ちらりと袖の下から覗いた包帯から、主人公は汲み取ります。
(※間違ってもリストカットの推奨はしていません、激辛の食べ物とかでも脳内麻薬は出るようなので、手っ取り早く脳内麻薬による幸せ気分を味わいたい人は近くのコンビニで一番激辛そうなカップ麺でも買って食べましょう)

“あのコは今日も欠席みたい
生徒A「幸ウス子って死んだんじゃね?笑」
あのコは今日も欠席みたい
鋭利な言葉で”
―「病ンデル彼女」歌詞より引用―

ついに彼女は学校を欠席してしまいます。
生徒Aのセリフにより、彼女がどんな状況で、周りからどんな扱いを受けていたのか、大歓迎などでは決して無かったという事くらいはわかります。
どこまで酷い扱いを受けていたのかはわかりません。
その余白に、実際に酷い仕打ちを受けていた方が自身の過去を投影し、歌詞に出てくる彼女=自分自身であると、当てはめる事が出来るようになっているのでしょう。

“突き刺す痛みの 測りきれない量は
致死 及ぶさ オーバードース
昏睡状態の未来 もうダメだ”
―「病ンデル彼女」歌詞より引用―

リストカットでどうにかこうにか耐えてきた彼女ですが、それでも耐える事が出来ず、ついにより致死性の高い行為、オーバードーズに至ってしまいます。
でも死ぬ事は出来ず、昏睡状態になって病院に運ばれます。

“安定剤効かない脳内
繊細そうで感情の無い瞳してる
そんな君に恋して
不安定なって精神崩壊
介抱だって全身全霊
非現実に逃避 真っ赤に染まれ
病ンデル彼女が言いました
「死にたい」”
―「病ンデル彼女」歌詞より引用―

もはや精神安定剤など耐性がつき効かなくなる程に飲みすぎてしまった彼女。
辛い事を経験し、自己防衛の為に感情を無くしてしまった彼女。
そんな彼女が感情を爆発させます。「死にたい」と。
もしかしたら実際に言われる時はぽつりと呟くような感じなのかもしれません。しかしそれは耐える段階で壊れてしまった心の、他の感情は出て来ないのにそれでも出て来る程の強い感情です。
ボーカルのマモさんのデスボイス気味のシャウトは、そんな強い感情を表現します。

なお、この歌詞に呼応して、この曲の最後はこう締め括られています。

“病ンデル彼女
メンヘラ彼女に言いました
「生きろ」”
―「病ンデル彼女」歌詞より引用―

1番のサビで「死にたい」と叫び、それに対して最後のサビで「生きろ」と叫び返す構成に、救いたいという気持ちが感じられます。
病んでしまっている人は、この曲に登場する彼女に自分自身を投影しており、その状態でこの歌詞が登場するのですから、それはもうマモさんから、R指定というバンドから、自分に対して「生きろ」という言葉が投げ掛けられているに等しいのです。


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