「右園死児報告」(真島文吉 著)感想

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「右園死児報告」感想

一言で言えば「物凄く面白かった」!

「右園死児(うぞのしにこ)」という、奇妙な名前を与えられた物品・生物・場所に起こる怪異を記録した報告書という体裁を取りながら、その内容は純然たるホラーでも、科学的調査でもなく、ジャンルを超えて迫ってくる得体の知れない迫力がありました。

他の文字が混ざると怪異の力が弱まる為、文章で読む分には安全だといったことが語られるあたりは、思わず「ほんとか?」と疑いたくなってしまいます。(本当にこの報告書安全だよね……?)

報告書だけでなく、音声データの書き起こしや手紙、新聞記事、放送記録など、多種多様な資料が登場します。

中盤以降、状況は急激に動き始め、右園死児現象を巡る“戦い”の様相を呈していきます。

怪異の性質を利用した作戦や、各機関の対応、戦況報告といった展開はもはやフィクションの域を越え、まるで特撮や戦争映画を見ているかのような迫力がありました。

読み終えた後、「この作品は映画化されるべきでは?」という気持ちが沸き上がりました。きっと良い映画作品になるのではないでしょうか。

淡々とした資料調査から始まり、気づけば手に汗握る熱量に飲み込まれていたという読書体験は、“報告書型フィクション”の真骨頂と言えるのかもしれません。

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