感想
この書籍は、法華経全二十八品の内容を現代語でわかりやすく訳した一冊で、仏教にあまり詳しくない方でも入りやすい構成になっています。
法華経には、多くの素晴らしい教えが含まれています。
特に印象に残ったのは「陀羅尼品第二十六」で、そこにはさまざまな呪文のようなものが記されており、読んでいると不思議と「護られている」感覚を覚えました。
呪文というと少し抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、古来より信仰と安心感を結びつけてきた文化の一端が垣間見えるように思います。
私はもともと、日蓮宗で唱えられている「南無妙法蓮華経」というお題目について、そもそも「妙法蓮華経」とは何なのかを理解しないまま帰依してよいものなのか、という疑問を抱き、この現代語訳を手に取りました。
実際に読んでみると、法華経の中で説かれている教えの中に、「法華経」という名を冠した教えそのものが存在しており、これが経典全体を指すのか、それともさらに深い意味を内包した「法華経」が別にあるのか、読み進める中で少し混乱もありました。
しかし、この経典は他の教えをただ否定するものではなく、あくまで一人ひとりの理解力や状況に応じた「方便」として仏教の他の教えを認めつつ、最終的な真理へと導くものとして描かれている点が印象的でした。
その視点から見ると、例えば日蓮聖人が他宗派や他の経典を厳しく批判した姿勢は、現代の私たちの感覚からすると少し過激に映るかもしれません。
もちろん、当時の宗教状況や仏教の広まり方、政治や社会との関係などが背景にあったことも想像されますので、一概に判断することはできません。
とはいえ、この現代語訳を通して、仏教の教えや精神性の一端をより深く理解する機会を得ることができました。
仏教の経典に対して難しさを感じていた方にも、ぜひ手にとってもらいたい一冊です。
宗派を問わず、仏教が大切にしてきた「智慧」と「慈しみ」の心に触れられるはずです。


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