住宅街の中の静寂な佇まい
広島市中区白島九軒町。
静かな住宅街の奥、木々に抱かれているかのように佇むのが、高野山真言宗の寺院「光明院」です。
山号を医王山と号し、本尊は薬師如来を祀っています。
広島新四国八十八ヶ所霊場の第六十三番札所にも数えられ、町中にありながら、祈りの香を今に伝える小さなお寺です。

街の喧騒を忘れさせる境内の空気
今回、静かな午後にこの光明院を参拝させていただきました。
境内に入った瞬間、空気が変わったような気がします。
葉擦れの音と風の音だけが耳に届き、深呼吸したくなる静けさが広がります。
木々の緑が陽をやわらげ、時間の流れがゆっくりとほどけていくようでした。
納経の所作と、薬師如来への思い
本堂は施錠されていましたが、巡礼者のための納経印が箱に丁寧に納められていました。
玄関先のポストに納経料を納める形式で、誰にも強制されない静かな信頼の中で参拝が営まれています。
納経箱のそばにあった空の壺を見たとき、ふと私の頭の中に、薬師如来の「薬壺」が思い浮かんできました。
後から写真を見て振り返るとただ単純に傘入れだった可能性の方が高いですが……
壺に触れない程度にそっと手を差し入れてみると、何だか穏やかな気に満ちていたような気がしました。

木陰が与えてくれる“ひととき”
立ち止まり、木々の影が地面に揺れ、通りすぎる風に身をゆだねるだけで、心がゆるやかに整っていくのを感じました。
自然そのものが「休む場所」になってくれていたのかなと思います。
日常に溶け込む祈りの風景
大きな伽藍も賑やかな参詣者もありません。
ただ、訪れる人を、やわらかく受け止めてくれる場所。
光明院は、薬師如来の慈悲とともに、そっと心に光を灯してくれるような、そんなお寺さんでした。


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